ダーツの歴史その11


『日本のダーツはソフトから』

日本でも昔ながらにスティールダーツを楽しむプレイヤーは居たっけその競技人口はまだまだ少なかったわけ。そもそも日本にダーツという存在を世間に広めたきっかけはアメリカ生まれのソフトダーツマシンが東京のバー等を中心に設置されるようになってから。そのマシンのお手軽なゲーム性と派手な音で人目を集めてそれまでダーツを知らなかった若者を中心に徐々に遊ぶ人が増えていったわけ。この頃のダーツマシンで有名だったのがメダリストのスペクトラムとダートワールドのD-1。当初この二台のユーザー層としては比較的にライトなユーザーが多いスペクトラムに対して機能性にまでこだわるコアな層に人気だったのがD-1だったわけ。結果 "D-1を設置している店は敷居が高い" みたいな感じになるよね。まぁ実際にD-1で投げていた人には強い人が多かったわけでこれがD系と呼ばれている事の発端。状況が変わったのはメダリストとセガが組んで2004年にダーツライブが登場したあたり。実際自分がダーツに初めて触れたのもこのあたり。これまでダーツはその時だけの勝負だったものが新機能としてICカードに履歴を残せるようになったわけ。これを元に生まれたのがレーティングシステム。あなたの腕前レベルは今これくらいですよーなんつっていうもんだから、これがライトなユーザーの心をつかんで爆発的な人気を得るのね。そんな流れでダーツライブが関東を中心に色々な場所に設置されてシェアを伸ばしていく事になるわけ。これに続くように2005年に登場したのがフェニックス。もちろんICカード機能付きで売りは100%(ライブは80%)スタッツのこのマシンは九州を中心にそのシェアを伸ばしていくわけ。そんなこんなでまたたく間に日本全国でダーツマシンを目にするようになり、それに伴って日本のダーツ人口が増えていったのが大きな流れ。この流れに乗り遅れたのがD-1だったわけ。ちなみにダーツマシンが増えた事により行政に目を付けられ風俗営業法の規制を受けるようになった事はまた別のお話。



『日本のダーツのプロ組織化』

ダーツマシンの普及に伴いダーツ人口が増えてきてからは各店舗でのハウストーナメントはもちろんの事、大きなトーナメントも定期的に開催するようになってきたわけ。ここで問題なのは入賞賞金。一応日本ではアマチュア組織内でのお金の受け渡しはご法度なわけ。だから大きな声では言えないけれどもトーナメントの大小かかわらず金銭の授受はダメというのが本来の原則。とは言っても当時は色々な場所でゴニョゴニョだったとは思うのだけれど。この頃の代表的なイベントは2004年に始まったD-1主体の "Burn."。そして2007年からのダーツライブの "SUPER DARTS" が有名どころ。それに対抗するように同年フェニックス主体のプロ団体PERFECTが開幕。続いて2008年にはD-1主体のD-CROWNが開幕するわけ。これが国内のソフトダーツのプロ団体の始まり。でこれでやっと賞金の出るトーメントの開催が公にできるようになったわけ。この二団体は当時 "数のPERFECT" と "実力のD-CROWN" みたいな構図だったのが、マシンのシェアの差だったのかD-CROWNが財政難で2012年に活動停止状態に陥るわけ。これに代わるようにマシンのシェア№1のダーツライブが2012年にプロ団体JAPANを開幕。こんな流れでD-CROWNのプレイヤーはPERFECTとJAPANのどちらかに分かれる運びとなったわけ。結果としては現在PERFECTとJAPANの二団体がそれぞれ日本全国の各地でツアートーナメントを開催しているわけだけどね。これって素人目で見るとプロ団体ってひとつでいいよねって思うよね。自分もダーツ界の発展の事を想えばそう思う。ちなみにプロって言ってるけども他のスポーツに比べると資格をとるのが簡単な理由は単純に人集め。要は "賞金の出るトーナメント" に参加する資格として日本ではプロという肩書きが必要なわけ。だから高いお金を出して資格をとったうえに参加費を払ってトーナメントで勝てる自信がある人はどんどんプロになればいいと思う。そうじゃなくてもプロにはなれる。そういった意味でもプロは尊敬に値する。うん男前。



『日本のスティールダーツ』

日本ではソフトダーツからダーツを知る機会が多い関係でスティールダーツはちょっと敷居が高いわけ。そもそも自分で計算しなきゃいけないなんて面倒くさいなんつって。今の時代から逆行してるーつって言うわけ。まぁソフトがこれだけ普及している背景もあるからこの感覚は仕方のない事だとは思うのだけれど。それでもスティールダーツを本格的にやってみる機会があったりするとダーツ本来の奥深さがわかるわけ。やっぱ世界標準だわーつって。そんなこんなで日本でも徐々にスティールダーツを始める人が増えてくるわけ。言ってみてもやっている事は同じなわけなのだけれど感覚的に例えるならスティールがゴルフならソフトはショートコース。スティールがサッカーならソフトはフットサルなわけ。なんつーか競技性の違い。どっちが上とか言うつもりは毛頭ないんだけれども、あくまでダーツは本来スティールなわけ。これを言うとスティールの大会ではソフトのプロがどうだとか、さらにはPERFECTとJAPANのどっちが上だとかいう輩がいるのだけれどそんな事はどうでもいいわけ。ゴルフが強い選手がショートコースで必ずしも強いというわけでもないだろうし、ショートコースが上手い人はゴルフが上手でも全然おかしくないわけ。技術的にはそんなもん。ただね、ゴルフをやっている人はショートコースにすぐ対応できてもショートコースだけで慣れた人がいきなり本コースでやるにはちょっと勝手が違うわけ。その勝手の部分がダーツだと計算だったりアレンジだったりするわけで。ダーツをするならそもそも計算やアレンジは当たり前なわけ。逆に言えば計算やアレンジなんてダーツをやっていれば自然と身につくの。頭じゃなくて身体で憶えるの。だからね、何が言いたいかっていうとダーツが好きだったらもっとスティールをやってみようっていうお話。



『日本のダーツ協会』

ソフトダーツ界は大きく PERFECT(JDA公認プロ組織) と JAPAN(JDU公認プロ組織) の二団体があるのは前述した通りなのだけれど、これは言ってみたらフェニックスとダーツライブの覇権争いなわけ。だからマシンメーカーとしてのシェア争いの部分や利権の問題もあってひとつの団体として統合するのは難しいわけ。一方スティールダーツ界は大きく JSFD/Japan Sports Federation of Darts(WDF公認組織) と JDA/Japan Darts Association(内閣府公認組織) と JDO/Japan Darts Organizations(各DO統括組織) の三団体で構成されているわけ。もうせまい日本でごちゃごちゃ何やってんだかって感じもするんだけれども。発祥の地イギリスでさえもBDOとPDCが分かれているくらいだから仕方がないのかなとも思うわけ。一応それぞれの特色としてはJSFDはWDFの会員だからここの代表になればWDFのワールドカップやらBDOのスペシャルイベントに派遣される権利を得られるメリットがあるわけ。JDAは国が認可している関係もあり本来であれば日本のダーツ界を主導する立場でスティールのプロ資格を発行している唯一の組織なのがいちおう特色。JDOは新潟,全東京,大阪,兵庫,香川,愛媛,高知,全神奈川,愛知,埼玉,京都,広島,大分,岡山の各DOで構成されている組織で各地域毎のリーグ活動をメインに各地域トーナメントではポイントを競って海外への派遣なんかも行っている感じ。ちなみによく間違えるのだけど日本最大のリーグ団体 TDO/Tokyo Darts Organization はJDOではなくJSFDの会員。ざっとこんな感じで個々の組織がそれぞれ日々活動を行っているわけだけれども、これってダーツが好きでたまらない人にはけっこう大変なわけ。だって色々な大会に出て実績を残すためにはそれぞれの組織に加入しなければならないからね。だからプレイヤーの事を少しでも考えるのであればそろそろ組織同士が統合してもいい時代なのかなと思うわけ。まぁ無理だろうけど。


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